お嬢様萌えは、確固たる地位を築いていると思う。お嬢様。我ら平民とは住む世界の違う人々。自分の住んでいる同じ国、同じ街に住んでいるとしても、やはり、平民とお嬢様の間にある壁は存在する。その壁はオーラとなり、お嬢様を平民から守り、平民はお嬢様に接することが出来ない。お嬢様のオーラ、壁を越えた先にあるものは何だろう。それとはまったく関係ないが、お嬢様を分類してみようと思う。
視覚的な面からお嬢様を捉えると、お嬢様には、和風お嬢様と洋風お嬢様が存在する。ミラノ風お嬢様やカンボジア風お嬢様などの存在は認められていない、またはごく稀である。また、和風お嬢様は日本、洋風お嬢様は、北欧、露西亜、稀に亜米利加に住むお嬢様と定義する。しかし日本に住む日本人の洋風お嬢様も居れば、海外に住む日本人の和風お嬢様も居る(ただし後者は滅多に居ないし、外人の和風お嬢様は存在しない)。
和風お嬢様とは想像するに易く、和服を着ているお嬢様である。制服などの洋服を着ることはあるが、私服は大抵和服である。洋服を着る場合は、ワンピースやカーディガンなどの、シンプルな服を着用することが多い。髪型はロング・ショート問わないが、黒髪という点で統一されている。
産まれたときから髪の毛が色付いている場合を除き、つまり染髪をしている場合、和風お嬢様とは認められることは少ない。また、ごく稀にハーフの和風お嬢様も存在するが、その是非は議論を以ってしても結論は出ていない。
和風お嬢様は、大きな平屋に住むことが多い。庭には池があり、松と桜が植えられている。ビル街などには住まず、比較的静かな郊外や町外れに住む。
一方、洋風お嬢様は、よくドレスのような服を着ている。しかし日常的には洋服を着ている。服装の選択はお嬢様の性格や地方の文化に左右される。派手は服装をすることもあるが、和風お嬢様のように質素な服を着ることもある。
どんな髪型でも、お嬢様として通用するようだ。ロングショートや、黒髪茶髪白髪は問わない。だが往々にして、お嬢様というのは髪が長いようだ。
住居は豪華なお屋敷で、玄関では大きさを問わずシャンデリアが爛々と輝いている。中庭には噴水があり、周囲は花の咲いた花瓶で飾られている。庭は広く、花が至る所で咲いている。
このように、和風お嬢様と洋風お嬢様の服装・住居はあまり似ていないように見える。だが、洋服はシンプルなものを選ぶといった点や、家が大きいという点では共通している。和風洋風問わず、お嬢様とはそういうものなのだろう。
しかし、これだけではお嬢様を分別できない。次に、根本的な性格、というよりむしろ性質による分別をしてみる。お嬢様の生まれ育つ環境は限られている。まず、真面目な家庭で熱心に教育された、真面目なお嬢様。これは真面目お嬢様と呼称することにする。次に、お金持ちの家で甘やかされて育ち、自分を過大評価している態度の大きいお嬢様。これは高飛車お嬢様と呼ぶことにしよう。そして、問題のある家庭に育ったために、心を病んでしまったなお嬢様。これをメンヘラお嬢様と呼ぶ。最後に、あまりに現世離れした環境で育ったがために現実の世界に違和感を感じてしまう、お嬢様としかいえないお嬢様。これは別世界お嬢様と呼ぶことにしたい。
それぞれについて説明していこう。
真面目お嬢様。これはその名の通り、真面目で勤勉である。だからといって必ずしも成績が良かったり、料理が上手かったりする訳ではないことに注意したい。成果はともかく、努力家で、頑張り屋さんなのだ。また、一部のお嬢様は親の遺伝子の影響か、驚異的な知性や技能を持ち合わせることがある。そのようなお嬢様は真面目お嬢様であることも多いが、高飛車お嬢様になってしまうこともある。
高飛車お嬢様は自信過剰である。しかし、その意に反することになるが、自信が過剰でない、つまり自信の通り”出来る”お嬢様も存在するし、自信だけ過剰で実際は”出来ない”お嬢様も存在する。無駄に自分が偉いと思うことが多い。前者である自信不過剰の”出来る”お嬢様は、真面目お嬢様でも取り上げたように、驚異的な知性、あるいは技能を持っている。”出来ない”高飛車お嬢様が一番面倒くさいようだ。
メンヘラお嬢様は、ごく稀であるかもしれないし、違う捉え方をすればお嬢様全体に当てはまることでもある。お嬢様自体、メンヘラお嬢様と普通お嬢様に分かれるのかもしれない。
お嬢様の育つ家庭は、例外なくお金持ちである。言い換えただけであるが、お金持ちの家庭に育つ女の子が、お嬢様として認められる。しかしお金持ちとは言っても、そうなったきっかけは様々である。親の財産を継いだだけかもしれないし、親が努力家でお金持ちになったのかもしれないし、黒い金に手を染めてお金持ちになったのかもしれない(ちなみにこのお嬢様は和風極道系お嬢様、あるいは洋風ギャング系お嬢様である。また極道系、ギャング系のほかに和風名家系お嬢様、洋風貴族系お嬢様、成金系お嬢様などがあるが、あまりに種類が多いので詳しくは取り上げないでおく)。
このように、一般的な家庭と比べると、お金持ちの家庭は特殊である。その特殊な環境で育つ子も、一般的な家庭で育つこと比べると違ってしまうのは当然だ。たとえば、両親共に会社の社長やらエリートビジネスマンやらで働いていて、子供は親と接する機会が少なく、子育ては女中やメイドに任せっられているとする。その子供は、もちろん何の問題も無く育つこともあるだろうが、自分を生んでくれた両親からの愛を直接受けることが出来ず、何らかの精神的な疾患、それに準じるような性格になることもある。もちろんこれははっきりとした区別をすることは出来ないが、お嬢様っぽい特有の問題のある性格をしていたら、それはメンヘラお嬢様である。
別世界お嬢様は、滅多にお目にかかれない。というか、もはや存在すら疑わしい。別世界お嬢様は極度のお金持ちの元にしか産まれない。彼女は一般社会に触れることなく、幼少期をほぼ自宅の豪邸で過ごす。何から何まで女中やメイドが面倒を見、ボディーガードが付き添う。お嬢様の中のお嬢様、とでも言ったほうがいいか。しかし、そんな生活をしているがために、いざ屋敷の外へ踏み出してみると、当たり前だと思っていた屋敷の中の世界と現実の世界が違うことに驚愕し、戸惑い、慣れることが出来ない。また、彼女は何から何までまかせっきりであるため、自分で何もすることが出来ないということが多々ある。
と、お嬢様を性質によって分けてみた。文化的な違いとして、和風と洋風、性質の違いとして、真面目、高飛車、メンヘラ、別世界と分けてみたが、さらに性格による性格によっても分別が可能である。あらかじめ断っておくが、性格による分別とはいっても、性格は無限大である。なのでありがちな性格だけを取り上げることにする。
まず、おっとり系お嬢様というお嬢様が存在する。お金持ちの良家に育った、育ちの良い優しいお嬢様のことを言う。いつもニコニコしているため、見ていて和む。真面目お嬢様であることが多い。高飛車・メンヘラお嬢様であることは少ないように思える。別世界お嬢様はごく稀に存在するようだ。
突然だが、お嬢様の呼び方は、文化的分類の後に、性質的分類、性格的分類と続き、最後にお嬢様とつける。和風、高飛車、おっとり系お嬢様であれば、和風高飛車おっとり系お嬢様、といった感じだ。
次に、ツンデレ系お嬢様である。お嬢様特有のプライドを眩しいほど持ったお嬢様で、プライドが高いがために、素直になれない一面を持つ。和風お嬢様には少なく、主に洋風お嬢様に多いとされる。真面目でもあれば、高飛車でもあれば、メンヘラでもあることがある。別世界お嬢様には少なそうである。
無口系お嬢様というのも存在する。真面目無口系お嬢様は、そのままであるが真面目すぎて無口なお嬢様である。高飛車無口系お嬢様は、周りの人々を自分よりも下の者として見下げていて、周りの人々は自分に話しかける権利が無いと思っている、ハッキリ言ってどうしようもないお嬢様である。メンヘラ系お嬢様は、何らかの精神的疾患を負ったために無口なお嬢様である。別世界系お嬢様は、普段からあまり話すということをしないために無口なお嬢様である。無口系お嬢様は、性質によって性格が様々に変化する。
もちろん、普通系お嬢様も居る。性質を除いては特に取り上げることも無い、普通のお嬢様なのだ。
このように、性格の面では、おっとり系、ツンデレ系、無口系、普通系のお嬢様が存在する。しかしこれら以外にも様々な性格があることを覚えていていただきたい。
それでは、簡単にまとめてみよう。
文化的な面で、「和風」と「洋風」の二種類に分けられる。
性質的な面で、「真面目」「高飛車」「メンヘラ」「別世界」の四種類に分けられる。
性格的な面で、「おっとり系」「ツンデレ系」「無口系」「普通系」の四種類に分けられる。
文化的な面で二種類、性質的な面で四種類、性格的な面で四種類。単純計算でいけば、お嬢様は全部で三十二通り存在するかのように思える。だが、かみ合わない組み合わせもいくつか存在する。たとえば、高飛車とおっとり系は結びつかないし、和風とツンデレ系も、滅多にない組み合わせだ。実質的には三十弱の組み合わせがあると考えられる。
ということで、お嬢様を分類してみた。しかし要素がこれだけとは考えられない。もっと沢山の種類の分類が可能なはずだ。お嬢様の可能性は、無限大である。
我々は、お嬢様の何に惹かれるのか。それは冒頭でも言ったように、お嬢様を守るオーラの中を知りたいのではないか。隠されると見たくなるといったところであろうか。しかしそれも違う気がする。我々は、お嬢様でしか持てない性格に惚れたのではないのだろうか。お嬢様だからこその性格、一般人ではならない性格。そして、その性格を持ったお嬢様、もとい、その性格を持った女の子に惚れたのだ。
ちなみに、俺が一番好きなのは、和風真面目おっとり系お嬢様である。しかし和風別世界おっとり系、洋風真面目おっとり系も捨てがたい。よくよく考えてみれば洋風高飛車ツンデレ系という選択も、ベタだがなかなかに良い。しかしその一方で、和風高飛車おっとり系お嬢様というのも、一度は見てみたいものである。そして意外な盲点だが洋風(以下略